ダンスセラピーDMTLab(Dance/Movement Therapy Laboratory)ダンス/ムーヴメントセラピー・ラボラトリー

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ダンス/ムーヴメントセラピーに関する様々な情報を提供していきます。
お楽しみに!

#8.新たな年度が始まって・・・

昨年度は3.11の震災とその様々な影響を受けて、仲間のダンス/ムーヴメントセラピストであるボディ・マインド・ヘルスセンターの荒川香代子さんと共に『ダンス/ムーヴメントセラピー:特別セミナー』を開催してきました。私たち自身が自己を見つめる必要性を強く感じていたこと、そして誰かと共にそのプロセスをたどりたいと感じていたことが、この共同作業につながりました。先の1月のセミナーでは東京ダンスセラピープロジェクトの鍛冶美幸さんも合流しました。次回6月16&17日はその第4弾となり、再びDMTLabとB.M.H.Cのコラボレーションになります。

 私は昨年、久しぶりに日本ダンスセラピー協会に参加し、ワークショップとシンポジウムを担当しました。12月にはこれまた久しぶりの芸術療法学会に参加し、『ダンス/ムーヴメントセラピーとラバン動作分析法』と題した発表をさせて頂きました。3月には、少しだけ久しぶりの集団精神療法学会での発表で、『グループ・リーダーのひとり言〜ダンス/ムーヴメントセラピーの中で』を話させて頂きました。どれも『関係的な視点』が強調されているのは、昨今の私自身の興味関心を反映しているのだと思います。継続して参加している心理臨床学会での自主シンポジウムは今年で9回目を迎えますが、『ミラーリング〜共感』がテーマになる今回の発表でも、この視点をさらに探検していく予定でいます。

 さて今年秋には台湾でのコンファレンスに招待して頂いており、その準備に取り掛かり始めています。台湾、韓国、中国でもダンス/ムーヴメントセラピーは発展してきているようで、交流を深め、刺激し合いながら、アジアのダンス/ムーヴメントセラピー・ネットワークが広がっていくことを楽しみにしています。

今年度から中学校の体育の授業ではダンスが必須になっているとのことですが、その関係もあるのか、昨今の文化なのか、TVや新聞でダンスがテーマに取り上げられることが増えているような気がします。私の世代ですと『創作ダンスの授業が大嫌いだった』とのコメントを時々耳にすることがありましたが、『ダンスの授業が大好きだった』というコメントが聞かれるようになるのでしょうか?―――こうした現象が私たちの臨床にどう影響していくのが、まだまだわかりませんが、多くの人にとって『ダンス』に触れる機会が増えるのは喜ばしいことと感じています。

ベリー・ダンス、フラメンコ、コンタクト・インプロビゼーション、etc..、私にとってのダンスの興味関心は尽きません。
(Kyoko Jingu)

 

#7.アメリカでのDMT臨床 〜資格について〜

アメリカでダンスセラピーの臨床をするには、それぞれの州の資格を取る必要があります。資格の種類も州ごとに違い、一つの州で資格を持っていても,他の州では資格の書き換えができないこともあります。アメリカは一つの国と言っても,日本のように国家資格がないところが,まさに合衆国なのだなと感じさせられます。


カリフォルニア州の場合は,心理系の修士号を持っていれば、Marriage and Family Therapist(MFT)を取ることができます。また、この1月からは新しく、Licensed Professional Clinical Counselors (LPCC)という資格ができました。歴史的に見ると、カリフォルニア州は真っ先にMFTを導入したのですが、LPCCに関しては,他のどこの州よりも遅く資格認定が始まりました。MFTの資格で働いていたダンスセラピスト達の多くは、追加の試験を受けてLPCCの資格を取ったようです。


心理系の博士号を持っていれば、Psychologistの資格を取ってDMTを行うことも可能です。修士レベルと博士レベルでできることの違いは、Psychologistは心理テストが取れること、スーパービジョンや、病院、施設などでマネージャー的な仕事につけること、また、研究や教育に携わりやすいことがあげられます。DMTの臨床をする上では、修士レベルの資格で十分だと思います。いずれの資格も、学位を持っているほかに,3000時間以上の臨床経験と、いくつかのテストをパスする必要があります。


修士号を取得する際には、現在6つあるADTAが指定する大学院に入ると、ADTAが認定するダンスセラピストの資格が取りやすいです。大概の州で臨床ができる資格の取得もできるのですが、州によっては一人もダンスセラピストがいなかったり、いても少人数だったりするので、州の臨床資格の取得に手間がかかることもあるようです。


カリフォルニア州には多くのダンスセラピストがいますが、残念ながら、指定大学院がありません。他の州の指定大学院に行くか、もしくは関連する大学院に入って、ダンスセラピーはADTAが認定するコースでこつこつと学んでいくことで、Alternate Route(指定大学院以外のルート)で、ADTAのダンスセラピストの資格を取ることができます。


州の資格とADTAの資格を取るのは大変ですが、それでもこの制度のおかげで,クライアントもセラピストも守られていると思います。日本にはまだ心理の国家資格がありませんが、クライアントの保護とセラピストの地位の向上、また職場の確保のためにも、心理の国家資格が作られることを期待しています。
(Akiko,K.)

#6.アンケートのお願い(終了)

DMTLabのメンバー:梶明子は川岸恵子氏とDMTに関する共同研究を行っています。日本におけるDMTの現状調査をすることで、今後の発展に寄与できるのではないかと考えます。ご協力のほど、どうぞよろしくお願いいたします。回答期日:7月末日。


 ◆ 日本におけるダンスセラピーの現状についての研究〈アンケート〉
日本にダンスセラピーが紹介されて20年以上が経ちました。その間、日本ダンスセラピー協会や海外の大学院で研修を受けたダンスセラピストや、独自にダンスと心理学を学んだセラピストが活躍の機会を拡げ、いくつかの研究もなされてきました。

 しかし、現時点で、日本では、何がダンスセラピーであるかという定義が曖昧で、実際にどのようなセラピストがどのような活動を「ダンスセラピー」という名のもとに行っているかという研究はなされていません。

 このアンケートにお答えいただくことで、日本において、実際にどのようなダンスセラピーがどのようなセラピストによって行われているかを調査させていただきたいと思います。ダンスセラピスト、そしてダンスセラピーに興味をお持ちの方々に、ぜひご回答いただけますよう、お願いいたします。


 参加していただける方は、 https://www.surveymonkey.com/s/dmtinjapan より、オンラインアンケートにお答えください。このアンケートの結果に興味のある方は、akikokajidmt@gmail.com にご連絡ください。結果がまとまり次第、ご連絡させていただきます。たくさんの方の回答をお待ちしています。
◇ 川岸 恵子 (大阪府立急性期総合医療センター精神科)
◇ 梶 明子(California School of Professional Psychology)

 

#5.震災・災害とダンス/ムーヴメントセラピーT

〜その時、そして直後から〜

2011年3月11日、大きな被害をもたらした(そして今ももたらし続けている)東北関東大地震が起きました。本当に深く強く、胸が痛む思いがします。突然に命を奪われなければならなかった方々のご冥福を心よりお祈りしています。また、いまだ被災されていらっしゃる方々に心よりお見舞い申し上げます。

このことを受けて、仲間たちと年に一度開催しているCreative Arts Therapy Festival 2011 (by N-CAT)を延期することと致しました。『このような状況だからこそ、CATとして何かできないか』と、メンバー間で議論をしましたが、今はまだ安全・安心・安定が優先されるべきことと考え、決断致しました。延期は残念なことでしたが、こうした議論を通して、DMTとして、CATとしてのみならず、一個人として、震災・災害に対して、様々に感じることや思いを誰かと伝え合うことの大切さを実感するようになっています。

地震発生当時、私は京都にいました。京都の地でもかなりのゆれを感じられたことから、まさか遠い東北の地が震源地であるとは思いもよりませんでした。TVなどを通して目にする衝撃的で痛ましい映像には、からだが震えて仕方がありませんでした。現実のこととは受け入れがたく、そのことを確かめるように繰り返し映像を見ずにはいられない。過覚醒状態に陥り、不眠を体験するほどでした。感情と思考とからだの感覚が全て解離しているような状態でもあったように思います。

こうした状態の中、フェスティバル関連以外にも、友人・知人・同僚の安否確認や、臨床家仲間同士の情報交換が始まりました。海外からもたくさんの”Are you OK?”のe-mailが届きました。地震発生後一週間はそうしたやりとりに私自身が本当に支えられる体験をしていました。長らく音信不通だった方々と再びつながること、信頼できる仲間からの心暖まるエールと有益な情報、そして私自身も何かを伝えられること・・・。分断された何かが再び確かな強さをもって結ばれようとするエネルギーを実感していました。その力に支えられながら、日々のDMT臨床活動にも集中して取り組んでこられたと感じています。

自分自身のからだの境界をもう一度たどり、呼吸の流れを味わい、揺れているこころとからだがもう一度地に足をつけていく術を見出していく作業が、まず必要であったように思います。踊りながら、DMTを通して、自己治療としてそんな体験をしていることを意識しています。少しの静かな時を見つけて自分自身の呼吸を丁寧に感じていくこと、軽いストレッチなどのボディ・ワークで身体の緊張をゆっくりほぐすこと、私自身が今の日常を乗り切るために、そんなセルフ・ケアを心がけるようにしています。

震災・災害はからだにとても衝撃的なダメージをもたらします。しかし、生きてあるからだは、それだけで生に向かう可能性を秘めています。“生きている証”は“動くことである”とも言われています。かすかな呼吸、内臓の動き、血液の流れもまた動きのある生の証です。そんな“からだの声”を聴き入りながら、被災者の方々が、私たちが、再生へと向かっていくためのお手伝いができないものか、考えていきたいと思います。(Kyoko, J)


#4. Laban身体動作分析法ワークショップ

2010年12月23日と25日、26日に、アメリカから西田明子さんというダンスセラピストをお招きして、ラバンのワークショップを行った。西田さんは、Columbia College Chikagoの大学院でラバン動作分析士の資格を取得。

23日は、ラバンとも関わりの深かったアームガード・バーティニアフというドイツ人女性が考案したBASIC6が伝授された。BASIC6というのは、床に寝て行ういたってシンプルな身体の動かし方なのだが、この6種類の動きをマスターすると大腰筋というお腹の深層にある筋肉で楽に動かすことが出来るのだ。バーティニアフは1930年代に流行したポリオの感染によって麻痺した子供たちのための治療や、身体をより機能的に活用して空間を移動する技術をダンサーたちに教えていく中で、このBASIC6が出来上がったそうである。明子さんが自身の身体を使って見本を示されるので大変分かりやすったが、身体で覚えるには相当のトレーニングが必要だなと思った。高齢者のデイサービスでのリハビリにこれが取り入れられるととても有効だと思い、「日本の理学療法士のトレーニングに組み入れられるといいですよね」と明子さんと話したりしました。そして今、私はこの大腰筋が使えるようになりたいと思い、密かに(?)トレーニングをしているところである。

25日、26日は、ラバンの動作分析の中でもダンスセラピーと一番関係が深いと思われるエフォートのワークだった。エフォートは、FLOW、SPACE、WEIGHT、TIMEの4つの要素からなる動作の質をあらわすものである。最初に炭を使って紙にこの4つの要素の両極を描くことで体感した。これは、視覚に残るので、エフォートの導入として大変理解しやすいものだった。

その後はひとつひとつを丁寧にワークしていった。今回のワークで印象深かったのは、両極をひとつの流れの中で体感するということである。たとえば、WEIGHTの場合、二人で思いっきり押し合い、そして力を緩めて離れていく。ピアノのクレシェンドとデクレシェンドのようにじわーっと移り変わるそのプロセスを味わえたことが新鮮だった。

アメリカのダンスセラピストだと通常、通訳が入ってしまうが、西田さんだと日本語でのレクチャーになるので、質疑応答もしやすくて大変良かった。これからも西田さんを招いてのワークショップを企画したいと思っているので、お見逃しなく! (by Keiko.A)


#3 報告:45th Annual Conference of American Dance Therapy Association

9月23〜26日にニューヨークで開催されたADTAの年次大会に参加してきた。今年のテーマはCreating the Mind-Body Mosaic: Theory, Research and Practice in Dance/Movement Therapy。近年の神経心理学的な研究とともに、ダンスセラピーというフィールドのルーツと発展、そしてその土台にあるダンスの癒える力を確認する大会であったように感じた。

特にこの‘ダンスの癒える力’を確認する作業においては、より文化的な視点を取り込むパラダイムの探求が求められてきている。モダンダンスに代表される個人の内面の象徴的表現、つまり個人の内的世界の投影としてのダンスの探索が、文化というコンテクストと切っても切り離せないことは言うまでもない。さらに、ダンスセラピーの誕生と発展の背景において、多くの文化圏でダンスが人や社会の成長に、その土着的な部分で大きな役割を果たしてきていることは無関係ではない。ADTAの課題として、ダンスセラピストの教育的・臨床的スタンダードにおいて、あらためてこの文化的側面に着目しているようである。Asian-American, African-Americanなど、特定の文化圏内でのネットワーキングが動き始めており、活発な議論の場が生まれていた。

私自身は日本人としてアメリカのプログラムの中でトレーニングを積んだ。異なる文化を肌で体験したわけである。特に違和感を覚えずにいられたのは、常に”How do you feel?”と、私自身の実感する体験を重視することを求められ続けていたからであろうと思う。私の中に日本の文化があり、アメリカの文化もあり、そしてほかの文化の影響もおそらく受けている。そうした文化的影響を踏まえながらも、それを私自身がどう感じているかが一番大事にされ続けていたからだと思う。

私たちがダンスセラピーの実践でクライアントとともに考えていくのも、突き詰めればそこではないかと思う。その文化の中で、そのクライアントがどう感じているのか?私たちは同じ価値観(文化)を分かち合うことで大きな支えを得ることができる。同時に私たちは様々な違いから多くの学び合うことができる。帰属する文化を尊重する繊細さとともに、それに縛られない大胆さを持つことが、とても大事なことのように感じている。

差異を知り、そして超えて近づきあうことができる力こそ、人が自由にその人らしい健康を保つ秘訣のように感じながら帰国の途に就いた。
(J. Kyoko)


#2 「身体的共感・・・からだの響き合いが育むこころ」

最近、音楽療法家の集いと、それとは別に心理療法家の集いで話をする機会に恵まれた。共通するテーマは〈からだの視点からこころを考える〉ことであり、ダンスセラピストとしての私の役割は、臨床場面での経験をひもときながら、‘身体的共感’の意義を掘り下げること、と理解して臨んだ。

‘身体的共感’とは、他者の気持ちをからだを通して理解しようとする試みであり、それがその他者に受け入れられることで成立する。ダンス/ムーヴメントセラピーのプロセスにおいて、ダンスセラピストはクライアントのからだのありよう、姿勢、何気ないしぐさ、動きを、自らのからだを通してその質感(内的体験)を感じとり、そして自らのからだを介してそれを映し返していく。それをクライアントが受け取り、『あぁ、私はこんな風に感じているんだな』と気づき、『この人(セラピスト)は私のそんな気持ちをわかってくれているんだな』と体験された時、‘身体的共感’が両者の間で育まれたと理解される。

そしてそうした出会いに導かれ、支えられて、クライアントは抱えきれない感情体験を抱えるこころの器を自らの内に育んでいくようになると考えられている。動きの体験はイメージや言葉の次元とのつながりを見出すように促され、さらなる統合が育まれていくことが求められるが、常に‘からだに戻る’そして‘からだから始まる’プロセスである。そうしたところにある‘身体的共感’の治療的意義が、単なる技法だけにとどまらない、ダンス/ムーヴメントセラピーの本源を支え続けるものであると、私はいつも感じている。

防衛やクセや症状、あるいは性別や年齢や文化をすべてひっくるめて、からだはその人のありようを表現している。そしてそれらを超えるその人の核のようなものもまた確かにからだの内に存在する。他者の気持ちをからだを通して感じようとするプロセスは難しい。難しいが、それはとても興味深い。
(J. Kyoko)

#1 「ダンスは苦手なんです」

ダンス/ムーヴメントセラピーを知らない人に説明するのはむずかしい。「絵画、音楽、ドラマなど芸術を媒体とした心理療法のひとつで、“動き”を使ってやるものです」などと話してみる。“ダンス”というと、社交ダンスやジャズダンスやバレエなど、ステップのあるダンスを想像されてしまうので、「ダンスは苦手なんです」と敬遠されてしまうことも多い。

アメリカを中心に発展してきたものであるが、アメリカでも“ダンス”という言葉を入れるかどうかで論議があったらしい。しかし、アメリカのダンス/ムーヴメントセラピーの創始者たちはモダンダンサーだったので、“ダンス”という言葉を残したいという思いが強かったと聞く。欧米ではダンスセラピーと、ダンス/ムーヴメントセラピーは同義語として用いられている。

恐る恐る参加された方でも、最初は恥ずかしいという気持ちもあってか、こころもからだも固まっているのだが、次第に自由に表現する気持ちよさを味わい、自分を解放していかれることがある。そこからさまざまな自分への気づきが生まれていく。

そうした“動き”でコミュニケートする楽しさ、奥深さに、私ははまり続けているのである。

(by.Keiko A.)
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